奄美群島の喜界島で生産されている、とても貴重な在来品種の白胡麻

名産品

私達の食生活の中に、ほとんど毎日といっていいほど頻繁に登場する胡麻。

炒り胡麻や擦り胡麻・練り胡麻を惣菜やご飯、団子やプリンなどの菓子類に、振りかけたり混ぜ込んだり、サラダにドレッシングとして、また胡麻油にもなっているので、用途が多い食材ですね。
そもそも胡麻は栄養価が高い穀物ですが、近年では、含まれるゴマリグナン(セサミンなど)に抗酸化作用があるということで、健康に良いというイメージもあり、サプリにもなるなど人気も上がってきています。

しかし、日本国内で栽培されている胡麻の量は非常に少なく、流通するほとんど(99.9%以上)が輸入に頼っているのが現状なのだそうです。

喜界島で生産されている胡麻が貴重な理由

胡麻-花
胡麻の花とさく果

0.1%未満とはいえ、断トツに多いのが鹿児島県。
喜界島・徳之島・出水市・肝付町などで生産していますが、とくに喜界島は胡麻栽培が盛んで、国内としては日本一の生産量です。
国内で栽培された胡麻を食べようと求めたら、いかに貴重なものか、お分かりになると思います。

喜界島の基幹産業はサトウキビ栽培ですが、サトウキビの出荷が12月~3月のため、その前の夏場の換金作物として、かなり昔から胡麻の栽培を行っています。
もともとは自家用として栽培していましたが、製油会社などからの勧めもあり盛んになったようです。

喜界島で胡麻が出来るまで

胡麻畑-喜界島
喜界島の胡麻畑(ばら播き)

1. 胡麻の種播き作業

まず耕起・整地を十分にし、胡麻の種播きは5月上旬~7月上旬に行われます。
喜界島の梅雨時期は5月上旬~6月下旬なので、ちょうど種播きシーズンと重なるため、天気と相談しながら種播きの日を決めます。
種を播いた次の日に大雨が降ると、せっかく播いた種が流れてしまうからです。
晴れの日に種を播き、翌日はシトシトの雨が降り、そして晴天になるのがベストな天候だそうです。

ばら播きが主ですが、手押し式やトラクター装着式の播種機での条播きもされています。

2. 発芽後の手間ひま

種は播いてから10日前後で発芽します。
密集を防ぐため間引きをしながら、生えてくる雑草をこまめに除去する日が続きます。
喜界島では除草剤や農薬を使用しないので、暑い夏になるほど雑草の生育も早く、除去に苦労するそうです。

3. 収穫作業

種を播いてから50日前後で身長が1mを超える頃、下の方から順々に薄紫色の花が咲き始め、終わると実が熟し、さく果と呼ばれる鞘が出来ます。

収穫期の見極めは慣れていないと難しく、早すぎると鞘の中の胡麻が十分に育っていないし、遅すぎると鞘が開き胡麻粒が飛び散ってしまいます。
刈り取り時期は、下方のさく果が褐色化し、2~3個裂開し始めた時。
今だ!というタイミングで、根元から刈り取ります。

刈り取りは、鎌で手作業でやる方法と、米を収穫する時にも使うバインダー機械を使用する方法があります。
手作業で刈り取ると、その後も手作業で束ねる作業がありますが、バインダー機械を使うと、刈り取りと同時に一定数量ずつ束ねられて機械の横に排出されるので、少し楽だそうです。

4. 収穫した穂の天日干し

収穫して束ねられた穂は、品質調査の後、鞘が茶色くなるまで1週間から10日ほど天日干しし乾燥させます。
7月~10月、島中のあちこちの道沿いでこの光景が見られ、喜界島の風物詩となっていて、通称「セサミストリート」とも呼ばれています。

5. 脱穀作業

下にネットを敷き、棒などで結束した胡麻の茎を何度も叩きます。
脱穀は基本的に2回。1回目が7~8割程度茶色になった段階で、それから5日程度後に2回目を行います。

3. 調製

殻や砂などの異物を取り除く選別を行います。
生産者が個々工夫した道具を使うこともありますが、今はほとんど唐箕という機械を使っています。
風を送り比重の重い胡麻と軽い不完全な胡麻や殻・ゴミを分別します。綺麗な胡麻だけにするため、3回ほど機械に入れて繰り返し選別します。

その後、2~3日天日干しして、十分に乾燥させます。

喜界島の胡麻は在来品種

喜界島の胡麻は輸入物の胡麻と比べて若干小さいですが、これは品種が違うからです。
喜界島で昔から栽培されてきた在来品種で、1つのさく果の中に60粒以上の胡麻粒が入っています。

喜界島は隆起サンゴ礁の島ですから、土壌がアルカリ性で、そこで育った白胡麻は小粒で香りが高いのが特徴!
しかも、輸入胡麻と比べても栄養価が高くてミネラルが多く含まれています。抗酸化作用があることで注目のゴマリグナン(セサミンなど)の成分も多く含まれています。

胡麻の栄養と効能については、下記にまとめてあります。よかったら一緒にお読みください。

毎日のように食べている胡麻の日本の自給率が0.1%未満であることは、調べていてかなりビックリしました。
国内栽培の胡麻は値段が少々高いですが、これ以上減らさないために、むしろ少しでも増えていくように、積極的に購入していきたいところです。

国産の喜界島の胡麻は、通販での購入が可能で、普通のスーパーなどの店でも置いているところもあります。

おまけ 胡麻の若葉は青汁の材料にもなっています

いろいろ調べているうちに、胡麻の若葉は青汁の材料にもなっていることも知りました。
無農薬・無化学肥料で栽培される「鹿児島県産の胡麻若葉」を使っている製品が多いようです。

胡麻若葉の青汁は、葉酸・ポリフェノール・カリウム・穀物発酵エキスが多いそうです。
とくに、黒胡麻若葉に含まれる特有の抗酸化成分「アクテオシド」は、赤ワインなどに含まれるポリフェノールの一種・レスベラトロールの約15倍、ビタミンCの約5倍の抗酸化力が認められているそうです。
気になった方は、飲んでみたらいかがでしょう。

クレオパトラも胡麻を

食べちょったんだって!

おまんさあ、胡麻を食べたら

もっと、むぜなるが~♡

参考資料:
ふるさとチョイス 喜界島産ゴマ
島の太陽と潮風
みんなの農業広場 喜界島のゴマの栽培
CAMPFIRE 生産量日本一の「白ごま」喜界島から届けたい!

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