香りが良く、貴重な紀州みかんとされる、世界一小さい桜島小みかん

桜島小みかん-集合1 名産品

同じ桜島に、世界最大の大根がある一方、世界一小さなみかんがある!というのは、なんとも面白いですね。
「世界一小さなみかん」ということで、ギネスブックにも載っています。

桜島小みかんの歴史

桜島小みかん-種あり

みかんは、中国から鎌倉時代に日本に伝来したとされており、それは実の中に種を持つ小みかんでした。
現在は「みかん」といえば実の中に種が無い「温州みかん」がほとんどを占めていますが、温州みかんは今の鹿児島県長島地区で、偶発実生で誕生したといわれています。

江戸時代の人々は、縁起担ぎで「子孫が絶えないように」と、温州みかんより種のある小みかんを好んで食べていたそうです。
その小みかんを、江戸の町では「紀州みかん」と呼んでいました。
ですので、紀州みかんは「小みかん」のことで、小ぶりで実の中に種があり、香りが強く甘いのが特徴。
なぜ「紀州みかん」と呼んでいたかというと、江戸時代(1685年)に悪天候が続き、みかんの価格が高騰した時、紀州出身の紀伊国屋文左衛門が、紀州で栽培していたみかんを満載した船を江戸に送り、大もうけしたからのようです。

桜島小みかんは、この紀州みかんと同じ種類になります。(※現在一般的に「紀州ミカン」として売られているのは「紀州産温州ミカン」の銘柄なので、違う品種になります)
桜島小みかんは、島津義弘公が文禄慶長の役(1592~1598年)の際に朝鮮から持ち帰ったという説や、慶長5(1600)年に関ヶ原の戦いの後、紀州から持ち帰ったという説があります。
また、慶長8年(1603)年には、桜島小みかんを薩摩藩から徳川将軍へ献上したとの記録もあり、たいそう喜ばれたとか。
それで好評を得たこともあり、年貢のひとつとして桜島での小みかんの栽培が推奨されました。

現在、小みかんの生食中心の生産を行っているのは鹿児島のみといわれていて、平成16年度農林水産省地域食文化発掘・普及事業において、地域の風土・暮らし(生産・生活)に根ざした歴史を持ち、地域の食の多様性や食文化維持の観点から守るべき食材であること等が評価され「故郷に残したい食材100選」に選ばれています。

桜島小みかんの栽培

桜島小ミカン-栽培

桜島小みかんの木は樹齢200年以上の大木が多く、1本の木に非常に沢山(約20,000個)のみかんが実ります。
桜島は、周囲を海で囲まれた火山島で、年間を通して温暖な気象条件であります。みかん畑は扇状地の緩やかな斜面に広がっているので、海面からの反射光が当たり日照条件にも恵まれています。
桜島は火山灰と軽石状の荒い砂利を含んだ土壌で水はけがよいので、あまり水分を吸収しないで、その分栄養(果糖を含む)がギュッと詰まり、元々小ぶりな品種なのに、もっと小さくなったようです。
今も頻繁に噴火し活火山の桜島は、その度に上から灰(へ)や石ころを降らします。それにみかんの木自身が危機感を感じ『子孫を多く残すために』1個1個を小さくし、沢山の実をつけるように変化したのではないか、と管理人は考えていたのですが。。。
それは素人考えにすぎず、江戸時代に桜島での小みかんの栽培が盛んだったのは、江戸時代はあまり桜島が噴火しなかったからなのだそうです。

しかし大正3年に大噴火が起こり、樹園地が埋没したりしました。
1970年代からの連続噴火による降灰などの災害もあり、生産が危ぶまれた時もありましたが、それらを乗り越えて産地を維持しています。

桜島小みかんの特徴

桜島小みかん-温州みかん
←桜島小みかん →温州みかんM

直径が5cm以下で、1個の重さは40g程度。
皮を剥くと、そのままポイッと口の中に入る大きさです(あとで種を出さなくてはいけないのが、ちょっとメンドクサイですが)。

現在は品種改良で、どんどん糖度の高い果物が増えている傾向にありますが、桜島小みかんは私が子どもの頃にはすでに、適度に酸味がありながらも、とても甘かった記憶があります。
果肉は柔らかく多汁で、甘さと酸味のバランスがとれた食味の良いみかん。
爽やかな柑橘類特有の香りがとても強いので、鹿児島の人は、食べ終わったみかんの剥いた皮を天日に干して乾燥させ、細かく刻み、漬物やうどん・蕎麦などに薬味として使うことも多いです。

市場に出回るのは12月の1ヶ月だけと短く、正月が明けるとすでに売り切れ状態になっていることが多いですね。
お歳暮商品や、年越し蕎麦の薬味として、また、正月のしめ縄や鏡餅の上に飾りとして乗せるのに程よい大きさで、今でも年末年始に大活躍しているみかんです。

桜島小みかんの栄養素

桜島小みかんもミカンなので、栄養的には温州ミカンとさほど違いはありません。
主に含まれる栄養素は、ビタミンC、ビタミンB群、ミネラル類のカリウムやβ-クリプトキサンチン、食物繊維、果糖、有機酸のクエン酸などです。
皮の裏側やじょうのう袋に付いている白い筋には、ヘスペリジン(ビタミンP)というビタミンが多く含まれているそうです。ヘスペリジンはビタミンCと一緒に働き、毛細血管の強化に働いてくれます。毛細血管が強くなると血行も良くなり、免疫調整アップや悪玉(LDL)コレステロールの減少にも一役買ってくれ、たくさんの食物繊維も含まれているので、皮部分も薬味として食べるのは、健康にも役立ちそうです。

温州みかんの特徴や栄養と効能は、下記にまとめてあります。

現在の販売状況

桜島小みかん-ビニール

昔からの露地栽培もされていますが、近年は活火山・桜島の活動が盛んなため、降灰対策でみかんの木の上をビニールで覆うようにして(屋根掛けハウス)、表面にできるだけ傷がつかないように努力されている農家さんも多いようです。
それ以外に、出荷時期が2週間ほど早く11月下旬頃から出荷されているビニールハウス栽培のものや「種無し小みかん」というのも品種改良であるようですので、種があるので食べにくいと思う方や、小さいお子さんにも食べさせたいと思っている方は、そちらを購入してみるのもよいかもしれません。

小みかんは、桜島だけでなく霧島市などでも栽培されていて、甘みも強く香りも良いことから、ジャムやジュース、ドレッシング、お菓子などに加工されて販売されているものも増えています。

温州みかん人気に圧されて、どんどん貴重になってきている小みかん(紀州みかん)。
「江戸時代もこれを食べていたんだなあ。江戸時代の人々にとっては、かなり甘いみかんだったんだろうなあ」なんてことを考えながら食べてみるのも、楽しいかもしれません。

何カズンじょんの?

あたしは「へ」なんか、

しちょらんよー!

香りが良かち聞いたんで、

ちょっちカズンでみたのよ

参考資料:
地理的表示産品情報発信サイト 桜島小みかん
農林水産省 桜島小みかん
Wikipedia サクラジマコミカン
ぱくぱく桜島

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