奄美群島のサトウキビ由来の、ミネラルやビタミンも含んでいる黒糖

製造物

日本には江戸時代に中国からサトウキビの栽培や作り方が伝わった黒糖。

その頃とても高級品であったがために、薩摩藩への年貢として島民達は命がけの黒糖作りを強いられました。
そういう辛い歴史のある黒糖ですが、奄美群島の特産品として、現在は鹿児島県の「ふるさと認証食品」となっています。

サトウキビから黒糖になる工程

サトウキビ畑-サトウキビの茎

1. サトウキビの栽培

鹿児島の奄美群島の徳之島・沖永良部島・喜界島・奄美大島・与論島などは、豊かな太陽エネルギーが降り注ぐ、サトウキビ栽培にとても適した土地。
さとうきびは栄養繁殖の作物で、タネではなく茎を植えて栽培します。
1年以上かけて栽培すると丈が2mほどに成長します。茎には節があり、中身がつまった細い竹のような感じです。

サトウキビが糖分を一番貯えるのが12月~4月。サトウキビは時間が経つと品質が劣化するため、その日製造出来る量を刈り取りトラックに積んで工場へと運びます。

2. 小さくカットし圧搾

サトウキビの茎を小さくカットし、圧搾機にかけて汁を絞り出します。
絞り汁に石灰を混入し、不純物を沈殿・濾過して除去します。

3. 煮詰めて冷却

直火釜で煮詰めて濃縮します。
それを攪拌し冷却すると黒糖になります。

4. 検査を経て成形する

不純物は無いかを検査し、完全に固まる前の柔らかいうちに成形します。
商品によってはそれを砕き、箱詰めや袋に詰め完成です。

黒糖(黒砂糖)の特徴

黒糖は上記のとおり、サトウキビの絞り汁を煮詰めただけの糖ですので「含蜜糖」という種類になります。
ミネラル類やビタミンも残っているため、甘みも強いですが、渋みや苦味も感じられます。
独特で味わい深いですが、料理を作る場合はレシピの砂糖は白砂糖を前提としているため、食べた時に違う味になることがありますので、用途で選びましょう。

※注意点として、サトウキビを黒糖にする工程でボツリヌス菌の芽胞が含まれる可能性があるので、蜂蜜と同じく1歳未満の赤ちゃんには与えないように! とくに購入したお菓子などに黒糖が使われていることがあるので注意しましょう。

ちなみに、サトウキビを圧搾して濾過した液から糖分以外の成分を含んだ「糖蜜」を取り除き精製したのが、上白糖・グラニュー糖・氷砂糖などの「精製糖」になります。
三温糖やザラメは茶色なので黒糖のように見えますが、これも「精製糖」です。これは上白糖を分離したあとの糖液をさらに煮詰めて製造しているので、茶色いカラメル色になっているのだそうです。

この「糖蜜」を取り除き精製する際に、黒糖に含まれるミネラル類やビタミン類も不純物として取り除かれるのです。

黒糖の栄養

黒糖は「なんだか健康に良さそう」という印象があるのは、このミネラル類やビタミン類が残っているからですね。
精製糖にはほとんど無い、ミネラル類のナトリウム・カリウム・カルシウム・マグネシウム・リン・鉄・亜鉛・銅、ビタミンもビタミンB1・B2・ナイアシン(ビタミンB3)などを含んでいます。
もちろん、エネルギー源となる糖質もあります。

エネルギー代謝が早い

ご飯やパン・麺類などに含まれる炭水化物には糖質が含まれていますが、ブドウ糖まで分解されるには時間がかかります。
しかし黒糖の糖分(ショ糖)は、食べるとすぐに消化酵素によってブドウ糖と果糖に分解されます。
ブドウ糖をエネルギーに変えるのに補酵素として働くビタミンB1も含まれているため、エネルギーになるのが早く疲労回復に役立ちます。

ミネラルの中でもカリウム・カルシウムの含有量が多い

カリウムには摂りすぎた塩分の排出を促す働きがあるので、高血圧予防やむくみ解消に効果があるとされています。

骨や歯の主要な構成成分であるカルシウムも黒糖100gあたり240mgほど含まれています。
骨の代謝に必要なマグネシウムやリンもわずかですが含まれているので、筋肉や神経の働きをスムーズにしてくれる作用もあります。
牛乳を飲む時に黒糖も一緒に食べると、カルシウムの吸収率が高まるそうで、相性の良い組み合わせだそうです。

腸内環境を整える働きが

黒糖に含まれる天然オリゴ糖のラフィノースには、ビフィズス菌を増やし腸内環境を整えてくれる作用があります。
そうすると、便秘解消だけでなく、肌荒れや吹き出物などの肌トラブル改善にもつながります。

美肌効果も

黒糖の色素成分であるコクトオリゴ(黒糖オリゴ)は保湿力が強いので、肌の乾燥を防いだり痒みを抑えたりして、肌に潤いを与えてくれる作用があるそうです。
メラニンの生成を抑える働きもあるので、シミやそばかす防止にも。

時代に翻弄されながらも根付いてきた黒糖作り

江戸時代は薩摩藩に「黒糖地獄」という過酷な状況で命がけで作らされ、太平洋戦争後は、国内産糖に重点を置かれ大型の製糖工場が建設されるなど、奄美群島の黒糖作りの文化が途絶えそうな時代もありました。

しかし、それに負けないほど奄美群島や鹿児島の食文化の中に、黒糖はすでに根強く浸透していました。
「健康ブーム」も背中を押したかもしれませんね。

甘み調味料として、豚骨や角煮などの郷土料理の多くに使われており、「げたんは」や「ふくれ菓子」などの菓子類、小腹が空いた時はそのままお茶請けとして、現在でもよく食べられていて、その用途も増えてきています。
また、奄美群島だけで生産される「黒糖焼酎」も特産品になっていますね。

明治時代から奄美群島や鹿児島で愛され食べられてきた黒糖ですが、近頃は「健康志向の高まり」で、県外でも「黒糖」を食する人々も増えてきていて、全国のスーパーなどでも購入できますが、旅の土産としても人気があります。

黒糖をひとかけら舐むっと、

ダレがおさまっのよ!

一緒にかごしま茶も飲むとよかよ~♪

参考資料:
農林水産省 うちの郷土料理 黒糖
奄美物産公式ブログ
鹿児島県 ふるさと認証食品(黒糖)
水間黒糖製造工場
Kanro Sweeten the Future

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