鹿児島産のかぼちゃ。完熟してから収穫することで、高品質維持!

かぼちゃ-煮物 名産品

かぼちゃは昔から冬至に食べるという風習があるので、冬が旬の野菜と思われがちですが、収穫時期は夏から秋にかけてです。
追熟し貯蔵性の良いので、昔から秋に収穫したものを冬至に美味しく食べることができたわけですね。

そのかぼちゃの日本での生産量は、断トツで北海道が1位なのですが、なんと2位は鹿児島県です。
北海道は寒冷地ですが鹿児島県は温暖な気候。それを踏まえ出来るだけ収穫時期をずらす工夫をしながら栽培しています。

鹿児島県で生産されているかぼちゃの種類

かぼちゃ-南薩
© P.K.N

鹿児島県で生産されているかぼちゃは、ホクホクで甘いのが特徴の「西洋かぼちゃ(栗かぼちゃ)」。
その中でも「えびす」の栽培が一番多いですが、日本の食生活の変化に伴い、もっと甘みが強く粉質系品種の「くりゆたか」「くりほまれ」の生産が伸びてきており、「くり将軍」「栗五郎」、そして糖度が17度近くある「味平かぼちゃ」を生産されている農家さんもいます。

県内のいろいろな地域で栽培されていますが、JAいぶすき管内の山川町が県内生産量では最も多いです。
また、加世田のかぼちゃは平成3(1991)年に、第1号の「かごしまブランド産地」の指定を受けています。

鹿児島のかぼちゃ栽培は、年に2回の作付け

かぼちゃが日本に伝わったのは16世紀、九州(今の大分県)に漂着したポルトガル船によってもたらされたとされ、それは「日本かぼちゃ」と呼ばれています。
現在、それより一般的に流通量が多い「西洋かぼちゃ」は19世紀にアメリカからもたらされ、明治時代に北海道、大正時代に入ると関東以南でも栽培されるようになりました。

鹿児島のかぼちゃの栽培は、昭和48(1973)年に「えびす」が導入されたのを契機に、昭和51(1976)年ぐらいから本格化したそうです。
かぼちゃはウリ科の中では最も低温性作物であるため、鹿児島の気象条件下では年に2回の作付けが可能で、春かぼちゃと秋かぼちゃがあります。

春かぼちゃ

苗作り 1月。寒い時期なので温度と水管理に気をつけながら、ハウス内で育苗。
ほ場へ定植 1月下旬~2月。霜対策でトンネル被覆やハウス内(一部は吊り下げ栽培※)に定植。
交配 3月~4月上旬。
収穫 4月下旬~7月中旬。

※吊り下げ栽培とは、支柱やネットを使い、頭上にツルを這わせて栽培する方法。
メリットは、地這い栽培だと地に着いたところなどは日が当たらず黄色くなる部分があり(栄養価や味は変わらない)、見栄えが少し良くないので、日が当たるように実を回転する作業をしなくてはいけません。ですが吊り下げ栽培は満遍なく日が当たるので、その作業無しで形良く色の綺麗なかぼちゃができます。また、地這い栽培よりスペースが狭くても栽培が可能。
デメリットは、ツルを計画的に伸ばして、しっかり固定しなければいけない。収穫する時に高い位置で作業しなくてはいけない、など。

かぼちゃ-吊り下げ栽培

秋かぼちゃ

種まき 8月下旬~9月上旬。直まき
交配 9月下旬~10月上旬。
収穫 11月下旬~12月中旬。冬至の出荷を目指した抑制栽培。
貯蔵を工夫し年明け2月上旬の出荷にも対応。

栽培工程で心がけていること

栽培工程で第一に心がけていることは、良いかぼちゃを育てるために、それぞれの成長段階で細かく見守り丁寧に作業することです。
整枝し必要なツルだけ残したり、ツルが適正な方向に伸びるよう誘引したり、花を受粉させる着果。実を厳選・間引きし、病気予防や色むら防止のためにシートを敷くなど、収穫まで気が抜けません。
とくに、春かぼちゃは収穫時期が梅雨時期と重なり、秋かぼちゃは台風襲来時期になるため、排水や風対策に気を配っているそうです。

畑で完熟させてから収穫する

JAでは、畑で完熟させてから収穫することを基本としています。

まず、生産者が一定の基準に達したと判断したサンプルのかぼちゃを収穫し、選果場に持ち込みます。それを担当者が半分に試し切りして中身の色などの状態を確認し、完熟品だというOK!が出てから、本格的に収穫を開始する方法が取られています。
そうすることで、高品質で均一なかぼちゃの出荷が可能になっています。

収穫したかぼちゃは、腐敗防止のために切り口のツルは5ミリ以下に切除し、果梗を乾燥させた後(春作であれば2~3日後)、選果場に運ばれます。
選果場で機械によるブラッシングや選果が行われ、県内はもとより関東や関西などに出荷されていきます。
また、いぼ果や変形果などの規格外のものは、加工施設でペースト状に加工されます。

安心・安全なかぼちゃ生産のために

かぼちゃ-天ぷら

JAでは、生産者が記載した、肥料の投入量・施肥日、管理作業の実施日、使用した農薬と散布日などの生産プロフィールを回収し、残留農薬の自主検査や適期収穫、選果・選別などの品質管理を行っています。
鹿児島県でも、県独自の認証制度「かごしまの農林水産物認証」を創設し、さらなる品質向上を目指しています。
安心・安全な商品は、大きさ・見栄えの良さや味が美味しいというだけでなく、消費者の信頼にも繋がるため、徹底して取り組んでいるそうです。

徳之島や喜界島など奄美地方のかぼちゃ生産

喜界島でのかぼちゃ生産は、2000年に供用した地下ダム事業で農業用水が安定供給されるようになったのを機に、サトウキビ一辺倒からの脱却を図り開始されました。
島の重点品目に位置づけ、島一体で栽培に取り組んできたところ、春の早熟かぼちゃと秋の抑制かぼちゃとして、順調に生産量が伸びているそうです。
徳之島では、ミネラルたっぷりな赤土の畑で、農薬や化学肥料を減らした方法で栽培されており、お酢で害虫対策を行っているところもあります。

喜界島や徳之島など奄美地方の強みは、本土と沖縄県の収穫の谷間にあたる端境期に出荷できること。
競合を避けられることで価格も安定させることができ、関東方面を中心に出荷先も広がってきているのだそうです。

手間を惜しまず、丁寧に生産される鹿児島のかぼちゃ

鹿児島で栽培されているかぼちゃは、特殊な品質のかぼちゃというわけではありません。
しかし、生産者が手間を惜しまず丁寧に育て、JAなどの関係者が品質管理を徹底して行うことで、高い品質のものが生産されています。

鹿児島県産の完熟かぼちゃは、見るからに「緑黄色野菜だなあ」と思うほど、皮は深い緑色で、果肉は鮮やかな黄色。
調理するにも砂糖が要らないほど甘みが強く、ねっとりとした食感で、煮物やシチューなどの料理はもちろん、スイーツとして食べても満足できる美味しさです。

かぼちゃ-スープ

かぼちゃの栄養と効能、保存方法については、下記に詳しくまとめてあります。よかったら一緒にお読みください。

何を炒めちょっとね?

かぼちゃん種をね!
しゅちゅんしょうけ(焼酎のつまみ)に
なんつあならん(すごく合う)でなあ!

参考資料:
鹿児島県 かぼちゃ
alic 鹿児島県 JA南さつまのかぼちゃ産地
alic 産地紹介 指宿のかぼちゃ
鹿児島きもつき農業協同組合
奄美新聞社 喜界島かぼちゃ
JA北さつま

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