生産量が多い鹿児島の絹サヤエンドウ・実エンドウ・スナップエンドウ

スナップエンドウ-ミモザサラダ 名産品

エンドウ豆は、古代エジプト・古代ギリシア以前から世界中で食べられてきた豆の一つ。
その豆(種)から発芽して成長すると、豆苗・サヤエンドウ・実エンドウ(グリンピース)・スナップエンドウという、様々な料理で食べられている緑黄色野菜になります。

鹿児島県はその栽培が盛んに行われていて、日本での生産量ではトップクラスを誇っています。

エンドウ豆は成長過程などで名前が変わる

絹サヤエンドウ-花

エンドウ豆を発芽・成長させると花が咲き、中の豆を守るためにサヤが出来ますが、その豆が未熟でサヤが柔らかいうちに収穫して、サヤ部分を主に食材とするのがサヤエンドウ

それよりもっと豆が大きくなるように成長させ、しかし完熟する前のまだ柔らかいうちに収穫したのが実エンドウ(グリンピース)です。

スナップエンドウは、豆がグリンピースの段階でもサヤが柔らかく、豆とサヤ部分を一緒に食べられるようにアメリカで品種改良されたもので、1970年以降に日本に導入されました。

余談ですが…植物としては、乾燥エンドウ豆からサヤエンドウ→実エンドウ→乾燥エンドウ豆となり、同じ豆(種)でよいはずですが、現代はより美味しく育つように、その食材に合わせて品種改良がされているので、サヤエンドウはサヤエンドウ用、実エンドウは実エンドウ用というように、豆(種)の種類も違うようです。

鹿児島県での栽培

日本には、中国を経て遣唐使により、9~10世期(平安時代)頃に伝わったとされていますが、江戸時代に少しはサヤエンドウ用に栽培されたりはしていたようですが、本格的な栽培は明治時代になってから。

鹿児島県では1950(昭和25)年頃より、旧山川町の各地で、試行錯誤しながら栽培が始まったのだそうです。
それから、国営・県営の畑かん施設整備を契機に優良畑地が増えていきました。
エンドウ豆種も作付面積が増え、温暖な気候にも恵まれて、現在の鹿児島県の生産量は、サヤエンドウが国内1位、実エンドウが2位、そしてスナップエンドウが1位と、その年の気候で多少は左右されますが、トップクラスを続けています。

主な栽培地は、JAいぶすき(指宿市)管轄、JA鹿児島いずみ(阿久根市・出水市・長島町)管轄ですが、肝属(とくに垂水市)地域や大島郡などでも栽培されています。
全国に先駆けて出荷されるようにスケジュールが組まれていて、11月から翌5月上旬頃まで鹿児島県産が店頭に並びます。
ほとんど露地栽培ものですが、ハウス栽培もされています。

絹サヤエンドウ

絹サヤ-卵とじ

絹サヤは、サヤをメインに食べるサヤエンドウの中でも、最も早い時期に収穫したもの。
サヤが擦れた時に衣擦れのような音が立つことから絹サヤと呼ばれています。

鹿児島県産の絹サヤエンドウは、鮮やかな緑色で、中の実が感じられないくらい小さいためにサヤが非常に薄く、シャキシャキとした食感とほんのりとした甘さが味わえます。
正月前には売られていることもあり、お吸い物や茶碗蒸しに入れたりおせち料理の飾りにと、とても人気があります。

最近では筋が無い品種や、絹サヤエンドウより3倍ほど大きく煮物や天ぷらにしても独特の歯応えがある、美味しい「オランダエンドウ」を栽培しているところもあります。

鮮度の良いものは、サヤが綺麗な緑色でツヤとハリがあり、先まで真っ直ぐなもの。切り口やサヤが茶色くなっているものは、収穫してから時間が経っているので避けた方がよいです。

実エンドウ(グリンピース)

豆ご飯-実エンドウ

実エンドウはグリンピースの方が通りがよいかもしれません。
鹿児島県で栽培されている実エンドウの主な品種は、まめこぞう・スーパーグリーン・ミナミグリーン・南海緑・サツマグリーンなどです。

鹿児島県栽培の実エンドウは、じつは1996年には生産量日本一でした。しかし和歌山県特産のウスイエンドウという品種が美味しいと人気になり、それにどうしても勝てず、農家の収益率は低下してスナップエンドウの栽培などに移行するなど、生産量は減っていく一方でした。
それで「これではいけない!ウスイエンドウに負けない美味しい実エンドウを作らなくては!」ということで、鹿児島県農業開発センターで研究・開発がなされ、開花が早く多収量ですが食味が若干劣る「スーパーグリーン」と、開花は遅いですが青実の肥大が早く味の良い「あくねグリーン」をかけ合わせ、2013(平成25)年に新品種としてまめこぞうを誕生させました。
まめこぞうは、豆が大粒で食感が柔らかく、甘くて青臭さが無いのが特徴で、豆を生で食べても甘さを感じる美味しい品種です。
んまるで っちゃあまい どもも大好き うまいぞう!ですね。

グリンピースというと、冷凍のミックスベジタブルや缶詰を思い浮かべる人も多いと思いますが、旬の時期に収穫した新鮮な実エンドウ(グリンピース)は、鮮やかな緑色をしていて風味も格別です。
豆ご飯やかき揚げなどの料理で、ぜひ季節の味を味わってください。

サヤ付きのものと、サヤをむいた豆だけのものが売られていますが、サヤ付きの方が鮮度は長持ちします。
サヤが鮮やかな緑色でふっくらとした丸みとハリがあるのが良いです。
サヤをむいた豆だけのものはすぐ乾燥して鮮度が落ちやすいので、できるだけ早く調理しましょう。
サヤ付きもサヤを外すと鮮度が落ちやすくなるので、調理する直前にサヤを外すようにして、サヤ付きのままポリ袋などに入れ冷蔵庫で保存。
豆を外すときは、豆を傷つけないように包丁などは使わずに、手間がかかりますが手で行いましょう。お尻の先端の筋をつまんで押すとサヤの口が開くので、指で左右に開いて豆を取り出します。

スナップエンドウ

スナップエンドウ-カレー

絹サヤエンドウや実エンドウと同じように春野菜とされていますが、鹿児島では温暖な気候を活かし、早撒きが8月下旬、普通撒きが9月中旬から。
そして開花後25日前後の、中の実がグリンピースのように肥大して、緑色が鮮やかでサヤの厚みが1cm以上になった11月頃から収穫が始まります。

ふっくらとしてみずみずしいサヤと一緒に中の豆をまるごと食べられ、さまざまな料理にも使いやすいと、人気が上がっているスナップエンドウ。
スナップはパキンと折れるという意味。新鮮なものはサヤに水分が多く、半分に折るとパキンという感触がありますね。

鹿児島県で主に栽培されている品種はニムラサラダスナップ。シャキシャキとした歯応えと強い甘みが魅力です。

絹サヤエンドウ・実エンドウ・スナップエンドウの注意ポイント

生では出来るだけ食べない

上記の実エンドウの項で「生でも甘い」と書きましたが、えんどう豆種にはタンパク質の一種であるレクチンが含まれています。
生で食べると、食べすぎたりした場合などに下痢や嘔吐などの食中毒を引き起こす可能性があります。
加熱するとレクチンの影響はなくなるので、茹でたり加熱してから食べましょう。

調理する前に筋は取り除く

絹サヤエンドウやスナップエンドウですが、筋部分が残っていても食べられないわけではありませんが、固くて噛みきれなかったりして食べにくいものになります。
加熱した後だと、筋が上手く取れないだけでなく、房が開いてしまったり豆が外れてしまうことがあるので、調理する前に筋取りをしておきましょう。

まとめ

乾燥したえんどう豆自体、豊富な栄養素を含んでいますが、それから発芽して緑黄色野菜になると、豆には無かったビタミンCやβ-カロチンなどの栄養素が増え、もっとバランスの良い食材になります。

温暖な鹿児島でスクスクと育った、ほんのり甘くてシャキシャキ食感の絹サヤエンドウ・実エンドウ・スナップエンドウ。
信頼と高品質が認められた「かごしまブランド野菜」にも指定されています。
ひと足早い春の味を、鮮やかな緑色で華やぐいろいろな料理で、ぜひご堪能ください。

スナップエンドウを
食もいながら
何をしちょんの?

春の息吹を感じちょった!

スナップエンドウに含まれる栄養素やその効能などを、下記にまとめてあります。よかったら一緒にお読みください。

参考資料:
指宿市 スナップエンドウ
JA鹿児島いずみ 実エンドウ
指宿市 実えんどう
垂水日和 きぬさやえんどう
食べチョク 鹿児島県絹さや
にしやま農園
かごしまぐるり
ふるなびカタログ

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