芋焼酎(2)-体に優しい酒といわれる理由とその飲み方-

芋焼酎-黒じょか2 製造物
©鹿児島市

2003年ごろから盛り上がった第三次焼酎ブームは、美味しくて飲みやすいことが大きな要因でしたが、もう一つ「体に優しい健康的な酒」というのが広く認識されたこともあります。
芋焼酎が体によいといわれるのには、含まれる成分に期待が持てるからのようです。

本格芋焼酎に含まれる成分

芋焼酎醸造所-杜氏の里笠沙
杜氏の里笠沙 © P.K.N

プラスミン

プラスミンとは、血液内に存在する血栓を溶かすための酵素。
血管に血が詰まると、脳梗塞や心筋梗塞などの病気を引き起こしてしまうことがあります。
アルコールにはプラスミンを増やす能力があるといわれており、その中でも芋焼酎には特に多くプラスミンを増やす力があるということが実験結果から出ているそうです。

ウロキナーゼ

ウロキナーゼには、血液をサラサラにする酵素を増やす働きがあるとされています。

リロナール

芋焼酎の独特の香りは、リロナールという成分が含まれているからだそうですが、これは植物の香りを構成する成分でです。
芋焼酎からフワッと鼻に入ってくる香りには、アロマセラピーのような鎮静作用や抗不安作用があるとされ、リラックス効果が期待できるそうです。

プリン体・糖質が無い

これは逆に含まれないものですが、お酒を飲む時にちょっと気になってしまう、プリン体は0(ゼロ)、糖質もありません。
しかも低カロリー。本格焼酎のカロリーは100mlあたり146calほどですが、水やお湯で割って飲むことが多いので、結果、低カロリーなお酒といえるでしょう。

芋焼酎は、割って飲むお酒

芋焼酎は、ほとんど水かお湯で割って飲みますね。

これは、明治時代以前の芋焼酎の製法ではアルコール度の低い焼酎しか造れなかったことが関係しています。
サツマイモのデンプン含有量は米の3分の1程度しかないうえ、芋焼酎のもろみは粘性が高いために高濃度の仕込みが難しく、アルコール20度ほどの焼酎しか造れなかったのだそうです。
その低いアルコール度の焼酎を飲み慣れていた鹿児島の人達には、大正時代に製法技術が向上して高濃度の芋焼酎が造れるようになった時にも、それを強いと感じたようで、お湯で割って飲むようになったそうです。

お湯で割っていたのは、水で割ると白濁したりベタつき感が残ってしまっていたからですが、現在は濾過することにより白濁成分を除去して商品化しているため、水や炭酸水で割っても美味しく飲めるようになっています。
焼酎の飲み方として「ロクヨン(焼酎6+お湯4)」というのをよく聞きますね。25度の焼酎をロクヨンで割ると、アルコール度は日本酒と同じか、それより低いものなります。
日本酒と同じで食事中に一緒に飲むことが多い焼酎。この位の低いアルコール度の方が、料理の味や風味もなおいっそう引き立てるようです。

飲み過ぎないように

「体に優しく、酔い醒め良く二日酔いしにくい」といわれる焼酎ですが、やはり飲み過ぎると二日酔いになったり具合が悪くなったりします。
酒は「百薬の長」ともいわれますが、ほどほどの量を楽しみながら飲んでいくことが、体にも良いお酒ということになリますね。

割るとき、焼酎が先か水が先か

芋焼酎-お湯割-水割り

焼酎を水かお湯で割る時ですが、どちらが先か悩んだことはありませんか?
結論から言えば「水で割る時は焼酎から、お湯割りはお湯から」です。

水割りですが、水と焼酎の温度が同じくらいの場合、水の方が比重が重いので、先に焼酎を入れ後から水を注ぎます。すると水が沈んでいくので、自然と焼酎と水が混ざり合います。
お湯割りはその逆で、お湯と焼酎の比重は同じくらいになります。先にお湯を入れることで器が温まり、自然と混ざり合います。香りも焼酎を後に注いだ方がふんわりと立ち上がるので楽しむことができます。

前日に水を加えて焼酎を良くなじませておく「前割り(さきわり)」をするという方法もあり、味や風味をよく感じられます。

「薩摩焼酎」から「SHOCHU」そして世界へ

芋焼酎-お湯割-料理

鹿児島で造られる芋焼酎は「薩摩焼酎」としてブランド化されています。
これは、2005年にWTO(世界貿易機関)によって「地理的表示の産地指定」の認定を受けたもので、鹿児島県で採れるサツマイモと水、麹を用いて蒸留・貯蔵・容器詰めまで一貫して鹿児島で行ったものだけが名乗ることができるものです。
商品の原産地を特定する表示であり、知的財産権の一つとして保護されています。

そういう薩摩焼酎の魅力は、芋本来の香りやコク・旨みにあるのですが、近年は時代のニーズに応える形で、臭みを減らして飲みやすくしたフルーティーな芋焼酎も増えてきています。
芋焼酎なのに、柑橘系や花、リンゴ、ライチのような爽やかな香り、トリュフのような香りのものもありますね。
これは、今まで「芋の香りがどうも苦手」ということで避けていた人も、飲みやすいようにと工夫されて増えてきているわけですが、もう一つ「外国の方にも、抵抗なく美味しく飲んでいただきたい」という思いを込めて、製造されているそうです。

2013年「和食;日本の伝統的な食文化」がユネスコ無形文化遺産に登録されて以来、世界の各国で「和食ブーム」が起きていますね。
その和食を食する時にはやはり日本のお酒が合うということで、日本酒はもとより焼酎蒸留所も、海外への輸出に力を入れ出しています。
たしかに、瓶のラベルも、アルファベット表記や洒落たデザインのものも増えてきていますね。

島津斉彬公の命令で、西洋に対抗するために造られたのが始まりという「芋焼酎」。
新たな段階に入り、国内だけでなく世界への挑戦が始まっています。

あ のーとる あみてぃえ!

(フランス語?)

「私達の友情に乾杯!」

気どらんじ、

かごいま弁で言わんかい!

参考資料:
鹿児島県酒造組合
nomooo 芋焼酎は健康に良い?知られざる芋焼酎の効能について解説!
たのしいお酒.jp 芋焼酎

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