管理人の父は家庭菜園が趣味だったので、小さい庭にいろいろな植物を植えていました。
鹿児島ではゴーヤのことを苦瓜の瓜(ウリ)がゴイに変化して「ニガゴイ」と呼びますが、父は毎年欠かさず育てていましたね。
ニガゴイは生育旺盛な植物で夏になると毎日のように食べ頃の果実がなります。そんなわけで、夏の間は当然のように食卓の真ん中に「ニガゴイ」が置かれていました。
まあ、そのままというわけではなく、種やワタを取り薄切りしてサッと湯通ししたニガゴイが皿に盛られていたわけですが…。
それを自分が食べたいだけ取り、鰹節と醤油をかけて食べる毎日でした。
小さい頃は苦すぎて食べられなかったのですが、大きくなるにつれ一度に食べられる量も増えていきました。
そして、ニガゴイの持つ苦味の美味しさに気づき始めた頃、私は上京してしまったんですね~。
緑色のゴーヤは大きく2つに分けられる

ゴーヤは熱帯アジア原産のウリ科の暑さに強い植物で、農学・園芸学名は「ツルレイシ」。
16世紀(江戸時代)に中国から沖縄(琉球王国)」や九州南部に伝わり、地域特産野菜として栽培されてきました。
その緑色のゴーヤは、大きく2つに分けられます。
一つは九州南部で栽培されてきた、細長くて苦みが強いもの。
もう一つが沖縄で栽培されてきた、ずんぐりとして苦みがマイルドなもの。
管理人は「九州南部の方が少し寒いので、実が締まり苦みが凝縮されたんだろうなぁ」と考えていたのですが、どうやら反対のようです。
九州南部で栽培されてきた方が原種で、沖縄ではそれを食べやすいように、出来るだけ苦みを抑えて、実も肉厚になるよう品種改良しながら栽培してきたらしいのです。
「ツルレイシ」が「ゴーヤ」と呼ばれるようになったのは?

沖縄で盛んに栽培されてきた「あばしゴーヤー」は、濃緑色の太くてずんぐりとした形をしており、果長が20~25cmで苦みが少なく肉厚でジューシーな品種。
もう一つ、沖縄ゴーヤーを代表するのが「中長ゴーヤー」。果長が20~25cmぐらいで果色は濃緑色。栽培がしやすいうえに調理しやすい品種。
上記したあばしゴーヤーには、雄花が少なく生産性が低いという難点がありましたが、それを改良して1992(平成4)年に育成したのが「群星(むるぶし)ゴーヤー」。
これは、あばしゴーヤーを少し大きくしたような感じで、果長が25~30cm、果色は濃緑色をしています。そして、なんといっても雄花の着生が良く収穫率が高いです。
群星(むるぶし)ゴーヤーが育成され生産量が上がったことや、1993(平成5)年にウリミバエが根絶されたこともあり、徐々に全国に向けて出荷されるようになりました。
そこに、2001(平成13)年に放送された、NHK朝ドラの「ちゅらさん」がヒットし、沖縄料理ブームが起こったりして、「ツルレイシ」という野菜は沖縄名の「ゴーヤー」で全国に知れ渡りました。
この頃は、「ゴーヤー」「レイシ」「ツルレイシ」「苦瓜(ニガウリ)」など、いろいろな名前で店頭に並んでいてゴチャついてしまっていたので「一番名前が知られているゴーヤーで統一した方がよくないか?」という話になったようです。
全国で食べられる野菜になると沖縄名である「ゴーヤー」は短く「ゴーヤ」と呼ばれるようになりました。
沖縄県人は「ゴーヤじゃない!ゴーヤーだ!」と不満らしいのですが、鹿児島では長らく「ニガゴイ」と呼んできた野菜が「ゴーヤ」になったわけで、それよりはマシではないかと思います(苦笑)。
鹿児島県産のゴーヤ

近年は九州全般や群馬県・茨城県などでも生産されていますが、やはり沖縄県をはじめ、鹿児島県・宮崎県・熊本県の生産量が多いですね。
現在鹿児島県で多く栽培されているのは、鹿児島県農業試験場が育成した「か交5号」と、八江農芸株式会社が育成した「えらぶ」という品種。
収量性に富んでおり、紡錘型で果皮色が鮮やかな濃緑色、苦みが少なく高品質で食感も良いです。
他の県や種苗会社でもいろいろな品種が開発されていますが、同じような方向で改良されているので、私のような素人にはあまり差が判かりません(汗)。
そういえば、白いゴーヤというのもありますねぇ。
全国で食べられる野菜になると「苦みが苦手」という消費者も多く、そのニーズに応えようとすると苦みがマイルドで使いやすく食べやすいものになっていくのでしょうね。
しかし、苦い瓜なので「ニガウリ」と呼ばれ、それが特徴の瓜なのに、苦くないゴーヤって…??
ピーマンなどもそうですが、とくに小さいお子さんが「苦いもの」が嫌いなのは、本能的に「苦い=毒」と感じるからだそうです。
それから少しずつ苦いものも口にするようになり、苦くても大丈夫!という経験を重ねるうちに、苦みの味わいに目覚めて好きになる人もいます。コーヒーやビールなども基本は苦いですが、好きな人も多いですよね。ゴーヤも同じです。
それにゴーヤの苦みのもとのモモルデシン・チャランチン・グルカゴンという成分には、疲労回復など健康維持に役立つ効能もあります。
今考えると、キリッと苦くシャキシャキとした歯応えのニガゴイに、うま味成分であるイノシン酸たっぷりの鰹節と鹿児島の甘い醤油をかけるというのは、夏の酒のアテとしてかなり合うんですよねぇ~
そうなると、小さい頃食べていた苦いニガゴイが恋しくなったりします。。
そんなわけで「あのニガゴイは、もう食べられないのかしら?」と思って調べてみたら、まだまだ健在でした!
鹿児島の在来種、ニガゴイ「さつま大長レイシ」
昔から九州南部で栽培されていたのは「長レイシ」。
とくに鹿児島で栽培されていたのは、鹿児島の在来種である「さつま大長レイシ」です。
キュウリのように円筒形に細長く、果長35cmくらいで、果皮は少し薄めの鮮緑色。苦みが強く、果肉は硬めでシャキシャキとした歯応えがあります。
生育旺盛で着果率が高いので収穫量が多く、県内各地で1990年頃までは盛んに栽培されていました。
現在でも栽培されている農家さんはおられますし「鹿児島の伝統野菜」にも選ばれています。
今では一般的な青果店やスーパーなどではあまり見かけなくはなっていますが、鹿児島在来種の伝統野菜・ニガゴイを将来にも残していきたいですよね。
ゴーヤは家の中や地面の温度上昇を抑えるエコなグリーンカーテンとして、栽培されている人も多くいらっしゃいます。
種苗会社からも「さつま大長レイシ」の種子や苗はしっかり販売されていますので、育ててみるのも面白いかもしれません。
さつま大長レイシに限らず成長期のゴーヤは、1日でも遅れるとすぐ大きくなります。果実が大きくなりすぎると硬くて食べられなくなるので、果長が35cmほどで収穫しましょう。
ただ、その時期を過ぎると今度は成熟期に入り、逆に果実が黄色くなって柔らかくなっていきます。シャキシャキ食感は味わえなくなりますが、苦みが抑えられほんのり甘みも出てきて、これも食べることができます。
ただし、ゴーヤもウリ科なのでズッキーニなどと同じで、ごく稀ですが苦味成分のククルビタシンを多く含んでいる株があります。
ゴーヤの主な苦味成分であるモモルデシンは大丈夫なのですが、ククルビタシンは食中毒を起こす危険性があります。
また赤くなった種も一度に大量に食べて中毒症状を起こしたという報告もあるそうなので、どちらも一度にたくさんは食べないようにしましょう。

ゴーヤに含まれる栄養素やその効能などを、下記にまとめてあります。よかったらご一緒にお読みください。

ゴーヤを食もって
夏バテ予防じゃ!

ビタミンCもたっぷりだよ~
参考資料:
かごしま伝統野菜 さつま大長レイシ
AGRI PICK 種のプロが選ぶ!おすすめのゴーヤの種類6選
ちゅらとく ゴーヤーの豆知識
食の検定 夏バテ防止にゴーヤを食べよう
鹿児島市 ニガウリ


